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オムニチャネルは顧客第一主義?気になるその実態について


スマートフォンの普及や通信インフラの向上などにより、最近ではネット社会と言われるほどデジタル端末やインターネットが日常生活の中に当たり前のように溶け込んでいます。

こういった時代背景もあり、ネット広告やWebマーケティングも順調に市場規模を伸ばしてきましたが、ここ数年はEC購買の機能や市場の成熟といった影響もあり、デジタル領域だけでなく実店舗とも絡めたマーケティング施策を展開することで新たな価値創造を狙うO2O(オーツーオー)やオムニチャネル(※)という概念が誕生しました。
※チャネルとは…製品を消費者まで届けるための流通経路

セブン&アイ・ホールディングスは日本国内でいち早くオムニチャネルに取り組んだ企業として有名ですが、多くの企業では自分たちがどのように活用していけばよいかよくわからず、まだ具体的な行動に移せていない状況なのではと感じます。

そこで今回は自社のマーケティング活動にオムニチャネル戦略を組み込むきっかけとなれるよう、オムニチャネルの概念や最新の活用例を紹介していきたいと思います。

オムニチャネルとは

はじめにオムニチャネルとはどういうものなのか、おさえておきましょう。
消費者の視点で見てみると、オムニチャネルとは「どこに居ても様々なデバイスを通して簡単に欲しい情報を得ることができ、その時々に応じて最適な購入・受取り方法を選択できる状態」を指します。

例えばECサイトで商品を買った場合、通常は自宅まで届けてくれますが、時間指定が出来なかったり、出来たとしても13~16時の間の受け渡しなど時間の間隔が長かったりといった不便な点があります。
逆に実店舗で購入する際は自分で自宅まで持って帰らなければいけなかったり、欲しかった商品が品切れだったりといった不便さがありますよね。
こういった問題を解決してくれるのがオムニチャネルなのです。

オムニチャネルが実現することでユーザーは、「いつでも」「どこでも」「好きな方法で」自分の欲しいものを注文したり受け取ったりすることが可能になります。
例えばネットで購入した商品を自分の好きな時間に店舗で受け取れるようになったり、店舗で売り切れていた商品を他店舗から取り寄せたり、ネットで注文するといった優れた消費体験が可能になるのです。

コンビニ

また企業にとっても利点があり、顧客満足度を高めることで継続的に売り上げを増やすことが出来たり、オンラインとオフラインの垣根を越えて在庫や顧客情報を一元管理することで消費コストを抑えることが出来るようになります。

O2Oとは何が違うの?

次はこのオムニチャネルとよく混合されるO2Oという言葉との違いをご説明します。

「O2O」とは「Online to Offline」の略で、ネットで情報を知った顧客が実店舗に足を運んでくれるよう誘導する販売戦略のことです。
代表的な方法としては、店頭で使えるお得な割引クーポンをネットで配布したり、アイドルとの握手会チケットを配信するといった方法ですね。

元々O2Oは、実店舗で商品を選びネットで安く購入する「ショールーミング」という方法の対策として広がりましたが、現在では新規顧客の来店数を増やす効果があり、かつ即効性が高い手法であると言われています。

O2Oが特定のチャネルへと顧客の誘導を促すのに対し、オムニチャネルではそれをしません。
逆にどのチャネルからでも同様の価格と便利さで利用出来るようにすることで顧客に優れた消費体験を提供します。

・企業側が意図してオンラインからオフラインに誘導する方法がO2O
・どのチャネルでも同様の利便性を提供し、どのチャネルを利用するかをユーザーに委ねているのがオムニチャネル

と覚えておきましょう。

現状の課題とその解決方法

このようにユーザーに優れた消費体験を提供することが出来るオムニチャネルも、O2Oなど他の施策と比較すると組織的な改革が必要になるといった課題も残されています。
そのため大手小売店や有名ファッションブランドなど一部では積極的な展開が進んでいるものの、日本企業全体にはまだまだ浸透していないというのが実情です。

現在多くの企業が直面している、オムニチャネルを導入するために解決しなければいけない課題は主に次の3つです。

■在庫情報や顧客情報といったあらゆる情報の一元化が必要
店舗で売り切れの商品をECサイトで買ってもらったり店舗受け取りを出来るようにするためには、在庫情報をすぐに確認できる仕組みを作る必要があります。
ECサイトと店舗でのポイントを共通化するためには、商品のIDや台帳を統一したり、過去の注文履歴なども各チャネルで付け合わせる必要があるでしょう。

アメリカでいち早くオムニチャネルを取り入れたウォルグリーンの場合は、全米に存在する約7000の店舗やECサイト、ソーシャルメディアの商品や顧客に関する情報をすべて一貫したシステムで統一することで、パソコンで注文した商品が1時間後にはレジで受け取れるというオムニチャネル戦略を実現しています。

■店舗とECで顧客の奪い合いを防ぐ仕組みや新しい評価軸が必要
これは、これまでの評価方法が各チャネルの売上を基準に出来ているために起こる問題です。

例えば、ネットで購入した商品を店舗で受け取れるオムニチャネルシステムを作り、これまで店舗で買ってくれていたお客様におすすめしたとしましょう。
お客様がお店ではなくECサイトで商品を購入する機会が増えると、相対的に店舗側の売上は下がってしまうことが考えられます。
売上が評価基準になる場合、当然店舗側は自分たちの店で購入してもらうためにECサイトとの差別化を図る戦略を立てるなどするでしょう。
オムニチャネルは、どの販売チャネルでも同様の体験をしてもらうというのが基礎になっているのに、これではオムニチャネル実現とは真逆の方向に進んでしまいます。

競合

これを解決するためには、購入チャネルがECサイトであっても売上を店舗に還元する仕組みを作ったり、売上以外の評価軸を用意するといった対策が必要になってきます。

■全チャネルでの戦略の統一が必要
前の項目とも重複しますが、従来の企業ではECや実店舗といった各チャネルそれぞれの機能を活かして、顧客戦略や商品戦略を立てることで、顧客ニーズに応じたサービスを提供してきました。
「○○店限定商品」や、「○○店だけの特別セール」といった施策はその代表ですね。

ただ、特定店舗限定商品や特定店舗限定セールといった施策は、オムニチャネルの実現のためには弊害となってしまうため、各チャネルを統合して商品や価格の戦略をハンドリングする部署を作ったり、トップダウンでオムニチャネル戦略を推進していく体制が必要になってきます。

活用事例

最後に、これまで紹介したオムニチャネル戦略を実践している企業の活用例をご紹介したいと思います。

■セブン&アイ・ホールディングス
冒頭でも紹介したセブン&アイ・ホールディングスは、ほかの企業とは違い、複数の業態のリアル店舗とネットを融合させた独自のオムニチャネル戦略を展開しています。

セブン&アイ・ホールディングスというとコンビニエンスストアのセブンイレブンやスーパーのイトーヨーカドーなどを思い浮かべる人も多いですが、実はそれ以外にも様々な事業を展開させているのです。

セブン&i
(株式会社セブン&アイ・ホールディングス 2016年2月期事業概要(投資家向けデータブック)資料より抜粋)

こうした複数の業態とネットを融合させるための中核として、2015年11月にオムニ7というサイトをローンチしました。

ここではセブン&アイ・ホールディングスが提供する以下9つのサービスを利用することが可能です。

・セブンネットショッピング
・西武・そごうのe.デパート
・イトーヨーカドー ネット通販
・アカチャンホンポ ネット通販
・ロフトネットストア
・セブン‐イレブンのお食事お届けサービス セブンミール
・イトーヨーカドーネットスーパー
・デニーズ出前サービス
・セブン旅ネットの旅行予約サービス

全国のセブン‐イレブン店舗でネット注文した商品を受け取れるのはもちろんのこと、店頭で無料の返品対応をしていたり、セブン・カードサービスが提供する電子マネー、nanaco(※)を使っての支払などが可能です。
※nanaco電子マネー支払いはスマートフォンのみ可能です。

オムニ7はアプリ版もリリースされており、以下のような嬉しいポイントがあります。

・バーコード検索で商品チェックができる
・無料Wi-Fiサービス、セブンスポットが回数無制限で利用できる
・nanacoポイントがたまる・使える

■ドミノ・ピザ ジャパン
宅配ピザでおなじみのドミノ・ピザ ジャパンは一風変わったオムニチャネル戦略を展開しています。
オムニチャネルというとWebとリアルを結ぶ戦略だと考えてしまいがちですが、ドミノ・ピザにおいてはWeb上の様々なプラットフォーム(チャネル)で商品を注文できる仕組みを整えています。

ドミノ (1)

例えば「LINE ビジネスコネクト」を活用し、ドミノ・ピザのLINE公式アカウントを友だち登録した後に会員登録を行ったユーザーがトークやスタンプを送ると、ピザ注文の入力フォームが送付され、ライン上でピザの注文が可能になっていたり、Facebook社が提供しているメッセージアプリ、「Messenger」上でもチャットボットとの会話形式で、事前に特別な設定をすることなく注文が可能になっています。

まとめ

いかがだったでしょうか。

今回はキーワードが先行して実態のわかりづらいオムニチャネルについて、概要からO2Oといった類似ワードとの違い、具体的な例などをご紹介しました。

基本的にはECサイトと実店舗を持っている企業が対象となる施策ですが、最近ではレンタルスペースを提供するサービスも増えているので、実店舗を持たない企業であっても実施可能になる日も近いかもしれません。

他にも顧客情報や商品情報を管理している基幹システムが簡単に統合出来る仕組みが確立されれば、オムニチャネル戦略の導入ハードルはかなり下がり、新たなビジネスチャンスが生まれたり、消費者にもより便利な消費体験を提供できるようになるかもしれません。

ここ数年注目を浴びている手法でもあるので、オムニチャネルの概要をしっかりと理解したうえで、自社のマーケティング活動に活かす方法を考えるきっかけになれば幸いです。


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