Home > nex8編集部

どちらを選ぶべき!?リターゲティング広告の手動運用と自動運用

ネット広告最大の魅力は広告効果が見えやすく、実施した広告サービスごとの費用対効果が一目瞭然であることだといわれています。 そのため広告配信サービスごとや、各サービスの中でもさらに、どのユーザー群に対しての配信効果が良かったかを分析し、費用対効果の改善を行う広告運用担当の方も多いのではないでしょうか。 この時あまりにも細かく分析や運用を行いすぎると、人的なミスを起こしてしまい、結果的に広告効果が悪化してしまう、ということが発生しやすいです。 こういったことを改善するために、最近では自動で広告を運用するツールや機能などもあるのですが、こちらはこちらで内部のロジックがブラックボックスである点や、カスタマイズ性に乏しいといった課題があります。 手動と自動、結局どちらがいいのでしょうか・・・難しいところではありますよね。 そこで今回は、ネット広告を手動運用と自動運用のそれぞれで実施した際の特徴や活用方法をリターゲティング広告に絞ってご紹介したいと思います。 リターゲティング広告における運用について リターゲティング広告は、あなたのサイトに来たことのあるユーザーのみに広告を配信するサービスです。 より詳細な内容については、こちらのリターゲティング広告の基礎知識の記事も参照してみて下さい。 リターゲティング広告における運用は以下の3つに分けることが出来ます。 ・ユーザーごとの入札単価調整 ・配信先メディアの調整 ・バナークリエイティブの最適化 1つずつ、具体的にどんなことをするのかを見ていきましょう。 ・ユーザーごとの入札単価調整 「枠から人へ」という言葉が流行したように、リターゲティング広告では「どういうユーザー」に対して配信するかが重視される傾向にあります。 例えば「一度購入したユーザー」だけに配信する、「サイト訪問後3日以内のユーザー」の入札単価を上げて配信する、といったようにユーザーを選定し配信を行っていくわけです。 自動入札機能を導入しているサービスでは、特定のユーザーに配信した場合に想定されるクリック率やコンバージョン率から逆算をして、クリック単価を決定し調整していくことが多いです。 ・配信先メディアの調整 コンバージョンの起こりやすい広告枠の入札を高くしたり、クリック単価が高すぎる広告枠の配信を止めたりするなど、広告効果に応じて配信先メディアの枠ごとに入札単価を変えて効果の改善を図ります。 また、広告を掲載したくない特定のメディアをブロックするなど、運用担当者の要望に合わせて柔軟な対応が出来るサービスも存在しています。 ・バナークリエイティブの最適化 リターゲティング広告は配信するバナーによって、スタティックリターゲティングとダイナミックリターゲティングの2種類に分けられます。 スタティックリターゲティングでは静止画バナーを使って広告を配信、ダイナミックリターゲティングでは、ユーザーの見た商品ごとにバナーをリアルタイムで生成して配信を行います。 スタティックリターゲティングの場合、ユーザーごとにバナークリエイティブを変えて効果検証することが多いです。 例えば既存会員に対して会員限定セールの訴求バナーを配信する場合、対象となるユーザーがどういったセールに興味を持つかを考え、最適なバナーを作成することが重要です。 一方ダイナミックリターゲティングの場合、データフィードという商材情報のリストから、必要な情報(商品名、画像、価格など)がバナー上に反映される仕組みなので、クリエイティブの最適化をしたい場合には、このデータフィードの最適化が必要になります。 ECサイトならセール中の値引き率や値引き後の価格を表示させたり、人材サイトであれば求人情報の残りの掲載期間を記載したりするなど、商材によって効果の良いフィード設計は異なるため、ユーザーがどんな情報を求めているかを考えたうえで細かい調整をかけ効果改善をしていきます。 データフィードの基本の記事で、フィードについては詳細に説明しています。 その他にも、バナーの色味やデザインを変更してクリック率やコンバージョン率の改善を図ることもあります。 手動運用と自動運用の比較 リターゲティング広告の運用でどのようなことを行うのかをおさらいしたところで、次は先程ご説明した運用を手動で行った場合と自動で行った場合、それぞれの特徴についてご紹介していきます。 手動運用の特徴 まず手動で運用を行った場合ですが、メリット・デメリットに分けてご説明すると以下のようになります。 ■メリット ・運用の柔軟性が高い どのようなユーザーに配信するかしないかといったユーザーのセグメント分け、配信するメディアの選定、メディアごとの入札金額などを自分のやりたいように調整できるため、自由度高く広告運用をすることが出来ます。 ・最適化が早い 対象ユーザーのセグメントやメディアごとの入札単価などを細かく変更することができるため、運用経験のある担当者で、自社と親和性の高い配信方法が分かっていれば短期間で費用対効果を合わせることが可能です。 ・運用知見がたまる どのような配信先で獲得件数が伸ばせるか、購入意欲が高いユーザーの傾向はどういったものかなど、ノウハウがたまりやすく、そこで得た経験を他のマーケティング業務にも活かすことが出来ます。 ■デメリット ・人的ミスが起こりやすい 人の手を介するため、あまりに細かく設定しすぎると管理が難しくなり、人的ミスが起きやすくなってしまいます。 ・運用担当者のリテラシーに依存しやすい 運用経験の浅い担当者が運用を行った場合、上手く最適化をかけることが出来ず効果が悪くなってしまうことや、運用方法に抜け漏れが出る可能性があります。 ■総合評価 運用担当者のレベルによって効果が変わる危険性はあるが、広告主の目標に合わせ柔軟に対応出来ることが強みです。 細かくPDCAを回して確実に効果を合わせたい場合や、自社内で広告配信の規定が詳細に決まっている場合に向いています。 ただ運用にかなり時間を取られるので自社で運用をするなら専任の担当者をつけた方がよいでしょう。 自動運用の特徴 続いて自動で運用を行った場合を、こちらもメリット・デメリットに分けてご説明します。 ■メリット ・工数があまりかからない 配信先ごとの入札設定や配信するユーザーのセグメントなど、広告主側で設定した目標に基づいて全自動で行われるため、運用担当者の工数は少なくなります。 ・人的ミスが起こりにくい 運用部分に人の手を介さないため、人的ミスが起こりにくいです。 ・機械学習による安定的な獲得が可能 配信の最適化が機械学習で行われるため、段々と効果が良くなってきます。 よって配信期間が長いほど広告の費用対効果は安定させやすいです。 ■デメリット ・最適化に時間がかかる どのようなユーザーに配信すると効果が良いか、またそのユーザーにどの程度の金額で入札するかを配信しながら学習していくため、初動の効果は安定しにくい傾向にあります。 ・サービスの不透明性 配信先や配信するユーザーの選定方法などは全自動で行われているため、内部の配信ロジックがブラックボックスであることが多いです。 ・カスタマイズ性の乏しさ 配信先の選定方法や、ユーザーに対する配信期間や広告表示回数などの制限をかけることが難しいサービスが多いです。 ■総合評価 比較的運用に柔軟性がないサービスが多く、自分で細かい調整をかけたい人にはあまり向きません。 ただ広告運用にあまり時間をかけられない、または費用対効果が合っていて、コンバージョン件数が取れていれば予算をガンガン投資したいという場合には自動運用は合っていると言えるでしょう。 活用例 最後に手動運用と自動運用でリターゲティング広告施策を実施した場合、どういった活用が出来るのか、それぞれの活用例を簡単に見てみましょう。 ■実施企業 A社(レディースファッションのECサイトを運営) ○月○日19時から7日間春物のタイムセールを開始する。 事前にメルマガやLINEで告知を行うため、セール開始と同時にリピーターのコンバージョン件数が増える。 上記の企業を想定した場合、それぞれの特徴をふまえて考えてみましょう。 ・手動運用の場合 手動での運用だとセールが始まるタイミングでバナーや配信先ごとの入札設定を切り変えることが出来ます。 自社サイト訪問ユーザーに対してどういった配信が有効であるか、といった運用ノウハウがあれば、狙った配信先に強く入札をかけることが出来るのでスタートからすぐに効果を出していけるでしょう。 事前の準備に手間はかかりますが、目標CPAへの早い到達が見込めます。 また、もし運用知見がなくても、次のセールのタイミングでどういった配信をすればいいか、今回の配信で見極めることも可能なので、次回以降のマーケティング施策に繋げやすいです。 ・自動運用の場合 自動運用ではどうでしょうか。 自動運用の場合、バナーの変更はすぐに可能ですが入札単価や目標CPAを変更しても、それが実際のロジックに反映されるまでに時間がかかる(学習期間を要する)ため、即効性のある効果は期待しにくいでしょう。 ただし、セール期間に訪れたユーザーの行動パターンを機械学習していくので、2日目、3日目と時間が経つにつれて徐々に目標CPAに到達していくことが見込めます。 事前の設定等にほとんど時間をかけることはないので、安定的にコンバージョンの獲得が出来て、それほど時間を割きたくない場合は自動運用が良い、という判断が出来ますね。 まとめ いかがだったでしょうか。 リターゲティング広告を手動で運用するか自動で運用するか、どちらが自社に合っているかを選択する時の考え方がざっくりと分かって頂けたかと思います。 全自動の運用が増えてきているため「手動の運用は古くて効果が合わなさそう!!」と考えていたEC担当者も多いかもしれません。 ただ今回ご紹介した通り、それぞれに特徴や強みが存在するため、上手く使い分けて配信を行うことで広告効果を最大化させることが可能です。 また最近では配信先ごとの入札金額のみ自動調整で行われるサービスや大まかなターゲットの選定を手動で行った後に細かい分析と調整を全自動で行うことが出来る、ハイブリッド型のようなサービスも登場しています。 自社の状況を考えた時に、どのような広告サービスを使うべきかの1つの判断基準になれば幸いです。

もっと読む

6分間でネット広告の種類や強みをざっくり理解しよう

こんにちは。nex8編集部です。 この記事ではネット広告の概要や強み、現状抱えている課題についてまとめてみました。 Webの担当者になったばかりで、ネット広告とはどういったものか知りたい方にぜひ読んでいただきたい内容です。 ネット広告について ネット広告とは 最近では誰もがPCやスマートフォン、タブレットを持っていて、場所を問わずスキマ時間を見つけては情報を収集したり、インターネット上で物を買うことが当たり前になってきています。 このことからネット上で宣伝や集客ができる「ネット広告」も、ECサイトを運営している方にとって売上を上げていくために必要不可欠なマーケティング手法の1つになりました。 ネット広告は、商品やサービスを宣伝したい広告主がメディアサイトなどの広告枠へ画像や動画、テキストの形式で広告を配信するものです。 配信された広告でユーザーの興味関心を引き、広告主サイトへ訪問してもらうことでサービス認知や商品購入へつなげることができます。 インターネット上で広告を配信するという手法は、1996年にYahoo!JAPANがバナー広告を掲載したのが始まりだと言われています。 そこから20年余り、スマートフォンの普及に伴い、2014年度にインターネット広告費は初めて1兆円を超え、現在でも成長を続けています。 ニーズが拡大してきていると言われる動画広告に代表されるように、今後も様々な手法や展開が考えられ、またインターネット上での商品購入がさらに生活の一部になっていくことも予想されます。 ネット広告の活用や市場はまだまだ発展していくと考えられますね。 ネット広告2つの強み 急速に発展してきたネット広告ですが、その要因はスマートフォン普及によるインターネット環境の変化だけではなく、従来までの4マス広告(新聞、ラジオ、テレビ、雑誌)にはない、ネット広告の2つの強みにもあります。 それは『広告効果を計測し数値化』できることと『ターゲット選定』が詳しくできることです。 これはネット広告ならではの機能で、非常に大きなメリットがあります。 4マスの広告手法は集客や認知をしてもらうために有効ですが、具体的にどれだけの費用対効果を得ることが出来たのかが分かりませんでした。 (例えば、テレビCMを実際に見た人がどれだけ購入まで結びついたかを数値化することは難しいですよね。) ネット広告の場合、広告の表示回数やクリック回数、そこからどれだけ購入に至ったかという数字をデータとして計測でき全て可視化できます。 また、データが取れることによりどんなユーザーがよく買ってくれているのか、最も購入に結び付きやすい曜日時間帯がいつかなど、自社に合ったターゲットを理解し選定することもできるようになりました。 このようなネット広告の2つの強みにより、広告主としては費用対効果を追求した効率的な運用が可能になり、これが需要と市場規模の拡大につながったというわけですね。 ネット広告の種類と課金方式 ネット広告には様々な種類(配信方法)があり、それによって課金の形式も異なっています。 ここでは代表的なネット広告の種類と課金形式について簡単にまとめていきます。 代表的なネット広告の種類 ① 純広告 ある一定の期間、掲載したい広告枠に対し、あらかじめ決まった広告費を支払うことで固定で広告が表示される手法。 Yahoo!のTOPページに掲載されるものが有名。 ■関連記事 「こんな商品あったんだ!」が購入への第一歩、知っておきたい純広告の活用法   ② アフィリエイト広告 ブログや比較サイトなどに紹介記事とともに広告を掲載してもらい、そこから広告主の定めた成果(購入や資料請求等)が上がった時のみ成果報酬として広告費を支払う手法。 ■関連記事 【アフィリエイト×リターゲティング】アフィリエイト広告の基本と3つの特徴   ③ リスティング広告 Yahoo!やGoogleの検索結果画面に広告を掲載できる手法。 指定した検索キーワードで入札すると、ユーザーがそのキーワードで検索をした時に広告が表示され、クリックされた場合に入札額に応じた広告費を支払う手法。 ■関連記事 今さら聞けない!リスティング広告の始め方   ④ リターゲティング広告 広告主サイトに1度訪れたことがあるユーザーに対して広告を配信し、再度訪れてもらうよう訴求する手法。 配信サービスとつながっている無数のWebメディアの広告枠に、配信対象となるユーザーが訪れた時に配信される。 広告費は配信サービスにより異なるが、広告表示やクリックに対して支払うことが多い。 ■関連記事 今さら聞けない!? リターゲティング広告についてEC担当者が知っておきたい基礎知識   ⑤ SNS広告 FacebookやTwitterといったソーシャルメディアのプラットフォーム上で広告を配信する手法。 プラットフォームやメニューにより、様々な広告費の支払い方がある。 ■関連記事 【2017年最新版】このターゲティングがすごい!簡単に取り組める、Facebook広告の出稿方法 見ればすぐ実施できる!これがセルフサービス式Twitter広告のすべて 時代はインスタ!インスタグラム広告を駆使してブランディングと集客をUPさせよう!!   ⑥ 動画広告 動画メディアの動画コンテンツ枠内で再生されるインストリーム広告(YouTubeの視聴前などでよく見られるタイプ)の他、読み物メディア等の記事中に広告枠が挿入されるインフィード広告や、ページ遷移のタイミングで全画面に表示されるインタースティシャル広告など、動画で作られた広告を配信する手法。 広告費の支払い方は配信サービスにより様々ある。 ■関連記事 始めるなら今!?話題の動画広告、その魅力とは 課金方式 上述したネット広告において、課金のタイミングは大きく3つに分けることができます。 まず「① 純広告」は、予め固定で広告費が決まっています。 「② アフィリエイト広告」は成果が発生した時に課金します。 「③~⑥」は一般に運用型広告と呼ばれ、ターゲットや広告枠毎に配信単価を変動させながら出稿する形式となっています。 (動画広告の場合、掲載期間や表示回数保障の形式をとるものもあります。) ここでは、純広告以外で使われるインプレッション課金、クリック課金、成果報酬型課金の3つの課金方式について、それぞれ説明します。 ・インプレッション課金 インプレッション課金とは、広告が1回表示されるごとに費用がかかる課金方式を指し、広告を1000回表示した時の単価であるCPM(Cost

もっと読む

ECサイトでマーケティングオートメーションツールの効果を最大限にするために抑えておくべきポイントとは

マーケティングオートメーションの概要について、以前の記事では特徴やECサイトにおけるの導入メリットなど基礎的な内容をお伝えしました。 あなたのECサイトでマーケティングオートメーションを導入するメリットを、少しでも感じて頂けたなら嬉しいです。 今回はマーケティングオートメーションツールの導入に向いている業種や、EC担当者が検討すべきツールなど、より実用的な内容を紹介していきたいと思います。 マーケティングオートメーションと相性の良い業種 まずはどんな業種がマーケティングオートメーションとの親和性があり、高い効果を出しやすいかを考えてみましょう。 それはずばり次のいずれかに当てはまる業種だと言われています。 ・検討期間が長い商品 ・在庫の有無が重要な商品 検討期間の長い商品との相性が良い理由は、マーケティングオートメーションは見込み顧客の分析を行い、顧客に合わせて中長期的に引き上げ施策を行うことを得意としているためです。 逆に言うと購入までの検討期間が短い業種だと、その機能を存分に生かすことが難しく、マーケティングオートメーションツールの導入メリットは弱いと言えます。 ですので、価格の安い洋服やお水やお米といった日用品などは、ネットで買うことにあまり躊躇が無く、検討から購入までの期間が短いため、マーケティングオートメーションとの相性はあまり良くないと言えますね。 ただファッションECや日用品を扱っているECサイトでも、冬物の高級なコートやジャケットなどを販売している場合や、家電や家具などの商品を中心に取り扱っている場合は、検討期間が長い傾向にあるため、メルマガで関心の高い商品の特徴や詳細を訴求したり、セール時にディスプレイ広告でセール情報を訴求したりすることで高い効果が期待できます。 在庫の有無が重要な商品については、車や注文住宅などをイメージしてもらうと分かりやすいと思います。 「大量生産でなく在庫に限りがあること」、「特定の商品在庫があるかないかによって顧客の見込み度合いが大きく変動するものであること」の2点が特徴です。 ※今回のブログではECサイトの定義を物販に限定せず、ネット上で商取引が可能なサイトと定義します。 この場合、マーケティングオートメーションを使うことで顧客のWeb上での行動履歴をもとに関心の高い在庫情報を分析し、その商品が入荷した際の引き上げ施策を自動で行うことが出来るため、顧客の欲しいものを欲しいタイミングで伝えることが可能です。 マーケティングオートメーションと商材との相性をまとめると下記のように表せます。 ◎:分譲マンションや注文住宅、金融系(変動するものでかつ検討期間の長いもの) 〇:車、家具、家電、有名ブランド △:食料品や飲料など日用品関連、単価の安い下着や靴下、プチプラ系のファッションアイテム マーケティングオートメーションを導入するタイミング マーケティングオートメーションと相性の良い業種・商材が分かったところで、次は導入に適したタイミングを考えてみましょう。 高度なマーケティング施策を実施出来るマーケティングオートメーションですが、導入負荷や費用が高かったりするので、ただ導入したいという思いだけでは途中で挫折してしまう危険性もあります。 そこで導入を決める前に、2つの条件を満たしてみるかを考えてみましょう。 ・マーケティングオートメーションで実施したい施策が決まっている ・マーケティングオートメーションを導入できる状況にあること 実施したい施策に関しては「シナリオメール(※1)をA、B、Cというー3つのユーザーセグメントに配信して、効果検証を行いたい」など具体的なアクションに落とし込める段階まで考える必要があります。 ※1:ユーザーの行動パターンから見込み度合いを想定し、それぞれに異なるメール配信を実施すること ただ「シナリオメールを実施したい」だけだと、どんなユーザーセグメントに対しての配信が有効かも不明確ですし、どんなツールを使用したらよいかも判断しづらいです。 そうならないためにはマーケティングオートメーションを導入する前に、まずは別のツールで施策を実施してその有用性が実証されたタイミングで、より高度に施策を実施するためや、同様の施策をより人的リソースを削減して実施するためなど、明確な目的意識を持ってマーケティングオートメーションを導入することが重要です。 次にマーケティングオートメーションを導入できる状態とは、具体的に次の3つの側面を満たしている状態を指します。 ・人的リソース ・導入コスト ・導入時の設計スキル 人的リソースと導入コストに関しては前回のブログにも書きましたが、マーケティングオートメーションを導入するには、全てのマーケティングデータをマーケティングオートメーションツールに移行出来ることや、導入費用分の予算が確保できている状態にあるという、2つの側面を確認しましょう。 3つ目の「導入時の設計スキル」が必要な理由は、マーケティングオートメーションツールによって管理画面や設定事項が異なったり、もしくは管理画面を利用者が独自にカスタマイズすることができるものが存在したりするためです。 またユーザーセグメントを行う広告やマーケティング施策につきものなのが、セグメントを細かく切りすぎで管理が煩雑になってしまい、うまくマーケティング施策を加速出来ないという問題が発生してしまうことです。 ただセグメントや実施する施策を考えるだけでなく、その効果検証をどのように行い、どう次の施策につなげるかという、「どうすれば自社のマーケティングを加速できるのか」まで視野にいれてマーケティングオートメーションツールを設計できるスキルも重要になります。 この点は導入前に管理画面のデモ画面を確認したり、運用型広告やマーケティングオートメーションツールの設計経験がある人材をアサインする、もしくは専任のコンサルタントをつけるなどするのがよいでしょう。 おすすめのマーケティングオートメーションツール 次はECサイトにおすすめのマーケティングオートメーションサービスを紹介しましょう。 ソーシャルメディアへの投稿機能やアプリでの計測が取れるかなど、ECサイトならではの機能もありますが、それ以外のわかりやすい違いは何かと言われるとなかなか出てこないですよね。 そこでこの章では、現在日本のBtoCマーケティングにおいて注目されているマーケティングオートメーションツールと、その特徴を紹介していきます。 ・Marketo(マルケト) 株式会社マルケトが運営するマーケティングオートメーションで、プログラミングの知識がない現場のマーケティング担当者でも、自分が考えた施策をすぐに実行できる操作性の高さや、便利な機能を多く実施出来る施策が幅広いといった特徴をもちます。 広告管理機能が備わっているため、リスティング広告やディスプレイ広告の運用にも活用出来ます。 またその課金式も特徴的で、一般的には送信メールx送信回数などで計上されがちですが、Marketoは連絡先(メール、Facebook、Twitter、アドレスなど)が特定されているアカウント数で料金が変動するため、将来のコストが予測しやすいです。 また管理画面を独自にカスタマイズできる点も嬉しいですね。 ・SATORI (サトリ) SATORI株式会社が提供する、お客様の気持ちを「さとる」マーケティングプラットフォーム。 集客やメール以外の手法での顧客育成、マーケティング活動の効果測定ができることが強みです。 こちらも機能が充実しているので、メルマガ施策以外にも様々な施策を実施したい企業に向いています。 ・R∞(アール・エイト) アフィリエイト広告やアドネットワーク事業を展開しているバリューコマース株式会社が提供するパーソナル・マーケティング・プラットフォームです。 顧客を見える化し、1人1人に合ったメール配信やクーポンオファーなどを行うことで、既存顧客の売上アップを実現できるのが特徴です。 元々アドテクノロジー領域に従事している会社のサービスなので、ECサイトでの導入実績が多そうですね。 ・MAJIN(マジン) 株式会社ジーニーが運営していて、Webブラウザもアプリも横断的に分析できる点がECサイト向きのサービスと言えます。 初月1か月間は無料トライアルで実施でき、無料期間終了後に自動で有料化することもないので、まずは使ってみないとわからない!という人にはおすすめです。 ・カスタマーリングス 株式会社プラスアルファコンサルティングが提供するマーケティングオートメーションツール。顧客行動分析(BI機能)に優れているため、細かい分析に工数をかけずに済む点と、無料でデモ画面を見ることが出来るため、初めてマーケティングオートメーションツールを導入する企業でも安心して導入しやすいサービスと言えるでしょう。 導入後(運用開始後)の注意点 最後にマーケティングオートメーションを導入し、施策の実施段階まで進んだ時に気を付けてほしい点を2つ紹介したいと思います。 適切なシナリオを設計する 実施出来る施策が多い点が魅力なマーケティングオートメーションツールですが、逆に言うと出来ることが多すぎるため、うまく使いこなせず途中で挫折してしまう危険もはらんでいます。 それではせっかく高い導入コストや長い時間をかけて導入できたのに、もったいないですよね。 そうならないためには導入時に適切なシナリオ設計を行い、自社にとって重要な顧客に対して、適切な訴求をかけていくことが大切です。 適切にシナリオ設計を行うためには「ペルソナ」や「カスタマージャーニーマップ」を活用すると良いと言われています。 ペルソナとは対象となるウェブサイトのユーザーの行動や、その背後にある価値観や心理状態を文章化したユーザー像を指し、ユーザー中心のマーケティング施策を行う上では必ず出てくるほど重要なものです。 一般的なペルソナを設計する方法はここでは省略しますが、マーケティングオートメーションにおいては、ペルソナ設計は多少ゆるめに設計するのがよいと言われています。 なぜならマーケティングオートメーションが得意とするのは「今すぐ購入を検討している顧客」ではなく「そのうち購入するであろう顧客」をどうやって興味関心の高い見込顧客(ホットリード)まで引き上げるかという点だからです。 ペルソナは細かく設定しすぎると、どうしても「今すぐ購入を検討している顧客」像が出来上がってしまうので、このペルソナ設計を緩めることでマーケティングオートメーションでの効果を最大化することが出来ます。 カスタマージャーニーマップはこのブログの別記事でも取り上げているので、そちらを参照して下さい。 勝ちパターンをつかめた時に自動化を検討する マーケティングオートメーションツールの運用初期の段階では上述のようにペルソナを作り、まずは手動で施策を実施して、効果検証することが大切です。 これは設計したペルソナやカスタマージャーニーが正しかったのか、想定した施策は合っていたのかが実際にやってみないとなかなかわかりづらい部分があるからです。 手動で細かくターゲットや訴求方法を変えて、最適なシナリオ設計が出来た時に自動化を検討するのが良いでしょう。 ただし全てを自動化させるのは、場合によっては避けた方が良いこともあります。 特に検討期間の長い商品だと1件あたりのCVの重要度が高いので、CV率を高めることが売上向上に繋がります。 例えば長期検討の末、高額な商材を購入しそうなユーザーがいれば、すぐに連絡をしたりアプローチをしたりして、その熱が冷めてしまうのを防ぐべきですよね。 効率化を考えるばかりではなく、状況に応じて自動化出来る部分とそうでない部分を考えることも重要になってきます。 まとめ いかがだったでしょうか。 ECサイトにおいてどのようなマーケティングオートメーションツールを活用して、どのように施策を進めればよいかの道筋は見つかったでしょうか。 まだまだ日本市場に浸透しているサービスではありませんが、近い将来マーケティングオートメーションを導入していること自体は、なんら特別なことではない考えられる時代も来るかもしれません。 そんな時に大切なのはどんなツールを導入しているかではなく、自社に取って重要なユーザーは誰で、そのユーザーに対してどのような施策を打つのがよいのかというノウハウを、どれだけ蓄積できているかではないでしょうか。 ルーティン業務に追われることなく、よりユーザー本位で自社のサービスやマーケティング施策を考えることが出来るような業務体制構築の一助になれば幸いです。

もっと読む

ECサイトにも使える!?今話題のマーケティングオートメーションについて調べてみた!

皆さんはマーケティングオートメーションという言葉をご存知でしょうか。 日本ではここ数年良く聞かれるようになった言葉で、BtoB関連のサービスを提供している会社では今最も注目を浴びているマーケティング手法の1つと言えるでしょう。 ECサイトを運営している担当者で「BtoB向けのサービスだし、私たちには関係ないかな~」なんて思ったそこのあなた!もう一度このブログのタイトルを見て下さい。 はい!ということで今回はまだマーケティングオートメーションの導入を検討していなかったEC担当者の方向けに、2回に分けてその特徴やECサイトで導入する際の活用メリットなどをご紹介したいと思います。 第1回目は、マーケティングオートメーションの概要についてお伝えしていきます。 マーケティングオートメーションとは 「マーケティングオートメーションって言葉は聞いたことあるけど、実際どんなものなのかはよくわからない」「何となくは知っているけど、実際、何がすごいの?」というEC担当者も多いと思うので、最初にマーケティングオートメーションがどういうサービスなのか説明していきましょう。 マーケティングオートメーションは興味関心・行動が異なる顧客それぞれに合わせて行うマーケティング活動を自動化するためのツールとして提供されているサービスです。 例えばBtoB企業においては、展示会等で名刺を交換しただけの相手に対して、いきなり営業担当が電話して、商談しましょう!発注してください!というのは相手も戸惑ってしまいますよね。 この時、名刺を獲得してきたマーケティング担当が営業担当に対して、ある程度見込みの高い状態で顧客を紹介できれば、スムーズに営業活動を行うことが出来るようになります。 マーケティングオートメーションは、主にマーケティングを担当する部署で使われていて、【見込み顧客の獲得】→【その見込み顧客と良好な関係構築】→【営業担当に成約確度の高くなった顧客を渡す】までの一連のマーケティング施策を自動化して行えます。 上記のように、メルマガによるアプローチや、確度が高くなってきたらセミナー参加の連絡をしてみたりなど、その時々に適したコンテンツと方法による施策を自動で行い顧客と関係構築をすることが出来ます。 BtoC企業でも購買の順番として、【認知する】→【興味・関心を持つ】→【比較・検討する】→【購入】となるのが一般的ですが、それぞれの状態に適したコンテンツをマーケティングオートメーションを用いることで、自動で届けることが出来るようになります。 ここで、興味関心・行動が異なる顧客ごとにマーケティング施策を行うことをOne to Oneマーケティングと呼びます。 例えば「セールを開催する際に、メルマガを開封していない顧客にだけ、ディスプレイ広告で訴求する」といった施策などがあげられますね。 実施出来れば高い効果が期待できそうですが、その実現には複雑な処理や大量の作業が必要となり、人の手を使うだけでは膨大なコストと時間がかかってしまいます。 マーケティング施策のレポーティングやサイト運営といった定常業務もある中で、全てに手を回せないEC担当者も多いかと思いますが、マーケティングオートメーションを導入していれば先程挙げたような定常業務や施策実施のために必要となる情報の処理などを自動 化できるため、「やりたいけどやれなかった施策」が実現可能になるのです。 つまりマーケティングオートメーションはBtoB、BtoC問わずOne To Oneマーケティングを実現するために有益になるツールと考えることが出来ますね。 BtoC企業でマーケティングオートメーションが流行している背景 冒頭でも触れたとおり、マーケティングオートメーションが日本で注目され始めた2014年頃はBtoBの企業での導入が先行していましたが、実際その取引額と成長率はBtoC企業の方が多くなっています。 これはECサイトにおいてOne to Oneマーケティングの重要性が高まっているからだと考えることができます。 近年はECサイトの運営に必要なツールサービスが高品質かつ低価格で利用出来るようになったため、ECに新規参入する企業が急激に増えてきました。 その結果顧客は商品を購入する場を選ぶようになり、自社で商品を買ってもらうことが難しくなっていると言えます。 そういったEC市場で生き残るためには、いかに効率よく新規顧客を獲得し、優良顧客となるファンを増やしていくかが重要なポイントになってきています。 顧客1人ひとりのニーズや購買履歴に合わせて行うOne to Oneマーケティングでは購買意欲の高い顧客に適切なタイミングでアプローチができるため、購買につながる確度も高く、効率良く新規顧客獲得が可能なのです。 また顧客が求めている情報を配信するので、広告やメールの配信も顧客にしつこいと思われにくく、その後も自社の商品を買ってくれる優良顧客になりやすいというメリットがあります。 ただOne to

もっと読む

ダイナミックリターゲティングサービスの提供会社だけが知る、よく起こる失敗例とその対処法

こんにちは。 弊社サービスのnex8はダイナミックリターゲティングによる広告配信を行っています。 このダイナミックリターゲティングは基本的にはCPAを抑えて効率的に獲得できるものですが、もちろん時にはCPAが改善しにくいといったケースもあります。 そこで今回はnex8での実際の運用経験をもとに、表示バナー、データフィード、取得情報の3つの観点から、よく起こる失敗例とその対処法についてご紹介します。 現在実施中の人もこれから予定している人も、ぜひ参考にしてみて下さい。 ダイナミックリターゲティングとは まずはダイナミックリターゲティングの概要と配信の仕組みについて簡単に説明します。 ダイナミックリターゲティングは動的リマーケティングとも呼ばれており、ユーザーが見た商品とそれに関連する商品を組み合わせたバナーを表示し、ユーザーごとに最適な広告を提供できる配信手法です。 配信するバナーに「商品名」や「商品画像」「価格」「商品説明」など商品を構成する詳細情報を表示させてユーザーが商品を閲覧した際の記憶を呼び起こすことができ、バナーをクリックするとそのまま商品ページに遷移することでCVR(コンバージョン率=成約率)も高められるなどのメリットがあります。 配信の仕組みとしては、サイトに設置したタグによって「どのユーザーがどの商品を見たのか」という情報(商品ID)を取得し、その情報とデータフィード(自社の商品データを広告配信サービスの形式に合わせて変換・連携させた商品データリスト)の商品情報を紐づけることで、ユーザーごとに最適な広告を自動生成し配信しています。 詳しくはこちらをご覧ください。 「よくぞ出してくれた!」と思わず言ってしまう広告とは!?ダイナミックリターゲティング完全解説決定版! これがないと動的広告が実施できない!?配信に必須のデータフィードとは このようにダイナミックリターゲティングは費用対効果に優れた配信方法なのですが、ここからは実際に配信をしていく中でよく起こる気を付けなければならないことを見ていきましょう。 表示されるバナー広告に関すること まずは表示されるバナー広告に関してです。 ■広告テンプレート(バナー)がサイトのイメージとかけ離れている 広告テンプレートはダイナミックリターゲティングの広告バナーを作る時に使う、色味や構成の変更が簡単に出来るテンプレートのことです。 ダイナミックリターゲティングでは、商品情報をどう載せるかと併せて、どういった色味にするかも重要になってきますが、この時Webサイトとバナーでイメージが違いすぎてしまうと、ユーザーがサイトに訪問してもすぐ離脱してしまうことが多くあります。 作成する広告バナーはWebサイトで使用している色(カラーコード)や訴求文言と同じにして、ブランドのイメージを統一させるようにしましょう。 データフィードに関すること 続いてデータフィードです。 バナーを動的(ダイナミック)に生成する際に使用するデータフィードには注意点が一番多くありますが、今回はその中でもやりがちなものをピックアップしてご紹介します。 ■バナー上の文字数が多くなり見にくくなってしまう 主に商品説明の部分でやってしまう事例です。 素材や大きさ、特徴などを説明文に入れ込みすぎてしまうと文字数に制限のあるバナー上では、全文が表示されなかったり、文字だらけで見にくくなってしまったりと、ユーザーの見る気を削いでしまいます。 またダイナミックリターゲティングでは、ユーザーの見た商品の数によってバナーに表示される商品の個数も1個、2個、3個と変化します。 表示する商品の個数によって商品の表示面積も違うため、文字量が多いと全ての文言が入りきらないといったこともあるのです。 動的バナーはデータフィード情報をもとに生成するので、確実に届けたい情報は先頭で記述しておく、または必要以上に情報を詰め込みないようにして、ユーザーが一目で商品を認識できるよう、データフィード情報の最適化を行いましょう。 ■商品名の先頭に共通の文言が入っている 全ての商品名の先頭に「○○ストア」「(ブランド名)」のように記載されている、またはキャンペーン中やSALE中の時には、「★SALE開催中★」といった文言が入っていることがあります。 このような表記の場合、商品名が途中までしか表示されず、何の商品分からないといったことが起きてしまいます。 もちろんSALEを全面に訴求したい場合であれば問題ありませんが、データフィードを作成する段階でどのように表示されるかを考え、想定と異なる表示がされそうであればこういった文言を除外するようにしましょう。 ■同じ商品が色やサイズ違いで出てしまう ダイナミックリターゲティングでは、ユーザーの見た商品を広告上に表示できることや、売れ筋商品、同カテゴリの人気商品をレコメンドできることなど、リターゲティング+レコメンドで配信できることが特徴の1つです。 この時フィードに商品情報の色違いやサイズ違いまで記載すると、例えばユーザーがシャツを見た際にバナーとして、見ていたシャツ+色違いの同じシャツ+サイズ違いの同じシャツといったように表示されることもあります。 これでは別の商品やもっとオススメしたいレコメンド商品が上手く表示されなくなってしまいますね。 データフィード作成時には、同じ商品の色違いやサイズ違いの記載を絞るようにしましょう。 ■データフィードの更新頻度が低い

もっと読む

オムニチャネルは顧客第一主義?気になるその実態について

スマートフォンの普及や通信インフラの向上などにより、最近ではネット社会と言われるほどデジタル端末やインターネットが日常生活の中に当たり前のように溶け込んでいます。 こういった時代背景もあり、ネット広告やWebマーケティングも順調に市場規模を伸ばしてきましたが、ここ数年はEC購買の機能や市場の成熟といった影響もあり、デジタル領域だけでなく実店舗とも絡めたマーケティング施策を展開することで新たな価値創造を狙うO2O(オーツーオー)やオムニチャネル(※)という概念が誕生しました。 ※チャネルとは…製品を消費者まで届けるための流通経路 セブン&アイ・ホールディングスは日本国内でいち早くオムニチャネルに取り組んだ企業として有名ですが、多くの企業では自分たちがどのように活用していけばよいかよくわからず、まだ具体的な行動に移せていない状況なのではと感じます。 そこで今回は自社のマーケティング活動にオムニチャネル戦略を組み込むきっかけとなれるよう、オムニチャネルの概念や最新の活用例を紹介していきたいと思います。 オムニチャネルとは はじめにオムニチャネルとはどういうものなのか、おさえておきましょう。 消費者の視点で見てみると、オムニチャネルとは「どこに居ても様々なデバイスを通して簡単に欲しい情報を得ることができ、その時々に応じて最適な購入・受取り方法を選択できる状態」を指します。 例えばECサイトで商品を買った場合、通常は自宅まで届けてくれますが、時間指定が出来なかったり、出来たとしても13~16時の間の受け渡しなど時間の間隔が長かったりといった不便な点があります。 逆に実店舗で購入する際は自分で自宅まで持って帰らなければいけなかったり、欲しかった商品が品切れだったりといった不便さがありますよね。 こういった問題を解決してくれるのがオムニチャネルなのです。 オムニチャネルが実現することでユーザーは、「いつでも」「どこでも」「好きな方法で」自分の欲しいものを注文したり受け取ったりすることが可能になります。 例えばネットで購入した商品を自分の好きな時間に店舗で受け取れるようになったり、店舗で売り切れていた商品を他店舗から取り寄せたり、ネットで注文するといった優れた消費体験が可能になるのです。 また企業にとっても利点があり、顧客満足度を高めることで継続的に売り上げを増やすことが出来たり、オンラインとオフラインの垣根を越えて在庫や顧客情報を一元管理することで消費コストを抑えることが出来るようになります。 O2Oとは何が違うの? 次はこのオムニチャネルとよく混合されるO2Oという言葉との違いをご説明します。 「O2O」とは「Online to Offline」の略で、ネットで情報を知った顧客が実店舗に足を運んでくれるよう誘導する販売戦略のことです。 代表的な方法としては、店頭で使えるお得な割引クーポンをネットで配布したり、アイドルとの握手会チケットを配信するといった方法ですね。 元々O2Oは、実店舗で商品を選びネットで安く購入する「ショールーミング」という方法の対策として広がりましたが、現在では新規顧客の来店数を増やす効果があり、かつ即効性が高い手法であると言われています。 O2Oが特定のチャネルへと顧客の誘導を促すのに対し、オムニチャネルではそれをしません。 逆にどのチャネルからでも同様の価格と便利さで利用出来るようにすることで顧客に優れた消費体験を提供します。 ・企業側が意図してオンラインからオフラインに誘導する方法がO2O ・どのチャネルでも同様の利便性を提供し、どのチャネルを利用するかをユーザーに委ねているのがオムニチャネル と覚えておきましょう。 現状の課題とその解決方法 このようにユーザーに優れた消費体験を提供することが出来るオムニチャネルも、O2Oなど他の施策と比較すると組織的な改革が必要になるといった課題も残されています。 そのため大手小売店や有名ファッションブランドなど一部では積極的な展開が進んでいるものの、日本企業全体にはまだまだ浸透していないというのが実情です。 現在多くの企業が直面している、オムニチャネルを導入するために解決しなければいけない課題は主に次の3つです。 ■在庫情報や顧客情報といったあらゆる情報の一元化が必要 店舗で売り切れの商品をECサイトで買ってもらったり店舗受け取りを出来るようにするためには、在庫情報をすぐに確認できる仕組みを作る必要があります。 ECサイトと店舗でのポイントを共通化するためには、商品のIDや台帳を統一したり、過去の注文履歴なども各チャネルで付け合わせる必要があるでしょう。 アメリカでいち早くオムニチャネルを取り入れたウォルグリーンの場合は、全米に存在する約7000の店舗やECサイト、ソーシャルメディアの商品や顧客に関する情報をすべて一貫したシステムで統一することで、パソコンで注文した商品が1時間後にはレジで受け取れるというオムニチャネル戦略を実現しています。 ■店舗とECで顧客の奪い合いを防ぐ仕組みや新しい評価軸が必要 これは、これまでの評価方法が各チャネルの売上を基準に出来ているために起こる問題です。 例えば、ネットで購入した商品を店舗で受け取れるオムニチャネルシステムを作り、これまで店舗で買ってくれていたお客様におすすめしたとしましょう。 お客様がお店ではなくECサイトで商品を購入する機会が増えると、相対的に店舗側の売上は下がってしまうことが考えられます。 売上が評価基準になる場合、当然店舗側は自分たちの店で購入してもらうためにECサイトとの差別化を図る戦略を立てるなどするでしょう。 オムニチャネルは、どの販売チャネルでも同様の体験をしてもらうというのが基礎になっているのに、これではオムニチャネル実現とは真逆の方向に進んでしまいます。 これを解決するためには、購入チャネルがECサイトであっても売上を店舗に還元する仕組みを作ったり、売上以外の評価軸を用意するといった対策が必要になってきます。 ■全チャネルでの戦略の統一が必要 前の項目とも重複しますが、従来の企業ではECや実店舗といった各チャネルそれぞれの機能を活かして、顧客戦略や商品戦略を立てることで、顧客ニーズに応じたサービスを提供してきました。 「○○店限定商品」や、「○○店だけの特別セール」といった施策はその代表ですね。 ただ、特定店舗限定商品や特定店舗限定セールといった施策は、オムニチャネルの実現のためには弊害となってしまうため、各チャネルを統合して商品や価格の戦略をハンドリングする部署を作ったり、トップダウンでオムニチャネル戦略を推進していく体制が必要になってきます。 活用事例 最後に、これまで紹介したオムニチャネル戦略を実践している企業の活用例をご紹介したいと思います。 ■セブン&アイ・ホールディングス 冒頭でも紹介したセブン&アイ・ホールディングスは、ほかの企業とは違い、複数の業態のリアル店舗とネットを融合させた独自のオムニチャネル戦略を展開しています。 セブン&アイ・ホールディングスというとコンビニエンスストアのセブンイレブンやスーパーのイトーヨーカドーなどを思い浮かべる人も多いですが、実はそれ以外にも様々な事業を展開させているのです。 (株式会社セブン&アイ・ホールディングス 2016年2月期事業概要(投資家向けデータブック)資料より抜粋) こうした複数の業態とネットを融合させるための中核として、2015年11月にオムニ7というサイトをローンチしました。 ここではセブン&アイ・ホールディングスが提供する以下9つのサービスを利用することが可能です。 ・セブンネットショッピング ・西武・そごうのe.デパート ・イトーヨーカドー ネット通販 ・アカチャンホンポ ネット通販 ・ロフトネットストア ・セブン‐イレブンのお食事お届けサービス セブンミール ・イトーヨーカドーネットスーパー ・デニーズ出前サービス ・セブン旅ネットの旅行予約サービス 全国のセブン‐イレブン店舗でネット注文した商品を受け取れるのはもちろんのこと、店頭で無料の返品対応をしていたり、セブン・カードサービスが提供する電子マネー、nanaco(※)を使っての支払などが可能です。 ※nanaco電子マネー支払いはスマートフォンのみ可能です。 オムニ7はアプリ版もリリースされており、以下のような嬉しいポイントがあります。 ・バーコード検索で商品チェックができる ・無料Wi-Fiサービス、セブンスポットが回数無制限で利用できる ・nanacoポイントがたまる・使える ■ドミノ・ピザ ジャパン 宅配ピザでおなじみのドミノ・ピザ ジャパンは一風変わったオムニチャネル戦略を展開しています。 オムニチャネルというとWebとリアルを結ぶ戦略だと考えてしまいがちですが、ドミノ・ピザにおいてはWeb上の様々なプラットフォーム(チャネル)で商品を注文できる仕組みを整えています。 例えば「LINE ビジネスコネクト」を活用し、ドミノ・ピザのLINE公式アカウントを友だち登録した後に会員登録を行ったユーザーがトークやスタンプを送ると、ピザ注文の入力フォームが送付され、ライン上でピザの注文が可能になっていたり、Facebook社が提供しているメッセージアプリ、「Messenger」上でもチャットボットとの会話形式で、事前に特別な設定をすることなく注文が可能になっています。 まとめ いかがだったでしょうか。 今回はキーワードが先行して実態のわかりづらいオムニチャネルについて、概要からO2Oといった類似ワードとの違い、具体的な例などをご紹介しました。 基本的にはECサイトと実店舗を持っている企業が対象となる施策ですが、最近ではレンタルスペースを提供するサービスも増えているので、実店舗を持たない企業であっても実施可能になる日も近いかもしれません。 他にも顧客情報や商品情報を管理している基幹システムが簡単に統合出来る仕組みが確立されれば、オムニチャネル戦略の導入ハードルはかなり下がり、新たなビジネスチャンスが生まれたり、消費者にもより便利な消費体験を提供できるようになるかもしれません。 ここ数年注目を浴びている手法でもあるので、オムニチャネルの概要をしっかりと理解したうえで、自社のマーケティング活動に活かす方法を考えるきっかけになれば幸いです。

もっと読む

リターゲティング広告の効果アップにも活かせる!?DMPの概要と活用方法

リターゲティング広告の費用対効果を良くするためには、配信するバナーやランディングページの改善、配信先の変更など様々な方法が考えられます。 配信するターゲットを変更することも、その1つですが、今回はより効果的に自社に合ったターゲットを選定できるDMPを使った効果改善の方法についてご説明します。 DMPとは何か DMP(Data Management Platform)はインターネット上に蓄積されている、様々なサイトでのアクセスログや、自社データを整理・統合し、管理する為のプラットフォームです。 外部サイトにおけるアクセスログや広告配信データなどの「外部データ」と、自社サイトから取得できる行動、購買のデータや会員情報、実店舗での販売記録などをまとめた「自社データ」を結び付けて細かく分析し、マーケティング施策に活用する事のできる仕組みを指します。 こう書くと難しそうに聞こえますが、ネット広告に関してのみ言えば、「様々なデータから正確に自社がターゲットとすべきユーザー群を抽出することで、広告配信の精度を高めるための仕組み」ということができます。 DMPは「オープンDMP」と「プライベートDMP」の2種類があります。 ■オープンDMP これは外部データを提供するプラットフォームです。 広告配信をする際、自社サイトへのアクセス数やユーザーに関する情報が足りず、上手く配信ユーザーを絞り込めない場合に、それを補うものとして活用する事ができます。 オープンDMPのデータを活用する事で、まだ自社サイトに来たことのないユーザーで、商品に興味関心のありそうなユーザーへの拡張配信などを行う事ができます。 例えば化粧品の新商品のプロモーションを行いたい時に、オープンDMPのもつ外部データから、化粧品の比較サイトや、美容メディアをよく閲覧しているユーザーを抽出して広告を配信する事で、サイトへのアクセスが少なくても効率的な配信を行う事ができます。 ■プライベートDMP 基本的には、自社サイトや自社で保有しているデータを統合し管理することで広告配信等に活かすことの出来るプラットフォームです。 さらにオープンDMPと連携をすることで、外部サイトのデータに加え、自社データをかけ合わせることもでき、より高度にデータを利用した広告配信を実施することも出来ます。 有名なオープンDMPとしては、Yahoo!JAPANの提供している「Yahoo!DMP」があります。 ユーザーがYahoo!で検索したワードなど、膨大な量のデータを使ったり、自社データとかけ合わせたりした広告配信が可能となっています。 「Yahoo!DMP」では多くのプライベートDMPサービス提供事業者と連携をしていますし、他のオープンDMPサービス提供事業者も、プライベートDMPの役割を持たせたり、連携が進んだりしているので、現在ではDMPというと、「外部データも使うことの出来るプライベートDMP」を指す事が多いです。 それを踏まえ、ここからは「DMP=プライベートDMP」という前提で、次の章では実際にDMPにどのようなことができるのかご説明していきます。 DMPでできること DMPの機能 DMPの機能は大きく「データ収集・管理」「データ分析」「データ利用」の3つに分けられます。 ■データ収集・管理 1つ目の機能がデータ収集・管理機能です。 自社サイトにDMPのタグを入れることで、データを収集することが出来ます。 収集できるデータはサイト・アプリ内でのユーザーの行動履歴、閲覧サイトのコンテンツ内容、ユーザーの性別や年齢、購買情報など多岐に渡ります。 また広告配信データや、自社で保有しているオフラインでの顧客情報、外部サイトにおけるデータ等も統合し一元管理することが可能です。 ■データ分析 収集したデータを分析する事ができます。 ここで問題になるのが、収集元によってIDやデータ番号等が異なってしまうことです。(例えばオンラインとオフラインで購入者が同一なのに、違うIDになってしまっている。) そこでまずは、オフラインでの顧客IDやサイトに訪れた際のCookie情報等をどのユーザーのデータか分かるように、IDのひも付を行い、各ユーザーに関するデータを統合して行きます。 その後、広告配信やその他マーケティング施策に活用するために、統合したデータを分析・セグメント分けしていきます。 サイトの訪問回数や、どの階層まで来ていたかに加え、第三者データや実店舗データなどを組み合わせることでユーザーの傾向を分析し、獲得の見込み度合いに応じて様々なユーザー群を作っていきます。 しかしここは非常に難しく、どう分析するのが正しいのか明確な答えがないので、PDCAサイクルを回しながら見極めていく必要があります。 ■データ利用 データ分析でセグメント分けを行ったユーザー群に対して広告の配信を行います。 具体的な手法については次の章で紹介しますが、DMPによって詳細にセグメント分けをされたユーザー群に対して、そのユーザー群のためだけのバナークリエイティブを作成する、特定のユーザー群の入札単価を高くするなどして、広告を配信し効果の改善を図っていきます。 もちろん広告配信だけでなく、メールマガジンやプッシュ通知、ランディングページの改善など様々な手法に活用していく事でより高い効果を見込む事ができるでしょう。 ただ、ここでも配信して終わりには当然してはならず、必ず効果検証を行い、ターゲットやセグメントの設計を組み直していかなければなりません。 DMPのメリット・デメリット DMPの機能を踏まえ、ここで簡単にDMPを導入することのメリット・デメリットについてまとめてみました。 ■メリット 自社のデータだけでは特定できなかったユーザーの興味関心・趣向などのユーザーの特徴を、外部データを取り入れる事によってより明確に把握する事が出来るため、今までよりもユーザーに合わせた効率的なプロモーションを行う事ができます。 また様々なデータを集約するため、データをまとめて管理・分析する事ができます。 ■デメリット 導入費用が高いものでは数百万円かかったりする事や、外部データと統合するために自社データの整備を行わなければいけなかったりと導入ハードルが高かい事、データを管理する部門や人材が必要である事など、DMPを導入する際に社内でDMP活用するための体制を整える必要があります。 リターゲティングへの活用方法 ここではDMPによってデータを活用した広告配信を、リターゲティング配信を例にして説明していきます。 リターゲティング広告は、一度サイトに来たユーザーに対して広告を配信する手法なので、少なくともあなたのサイトの商品やサービスについて知っているユーザーが配信対象になることが前提条件です。 ■ユーザー除外 DMPで収集したデータによって見込みの低いユーザーを除外します。 例えば「30~40代、女性向けの化粧品」のサイトを運営していたとして、ターゲット層である「30~40代の女性」のみに対してリターゲティングを行いたい場合を考えてみましょう。 分析したデータから男性と思われるユーザーや、10~20代前半女性などターゲット層以外のユーザーを除外したデータセグメントを作成すれば無駄な配信を減らすことができ、より効率的にユーザーへのリターゲティングを行う事ができます。 ■見込みの高そうなユーザーの選別 人材系の転職サイトであれば、自社サイトに訪れているだけでなく、転職に関する外部コンテンツなどを積極的に閲覧しているユーザーはより見込みが高いと考えられます。 そういったユーザーのデータをDMPから取得し、自社サイト閲覧者のデータとかけあわせたユーザー群を作成することで、サイトに訪れるユーザーの中でも特に転職を検討している層に対して、より精度の高い配信ができます。 ■実店舗での購入者に対して 実店舗での購入データを活用することもできます。 過去に自社商品を実店舗で購入していて、自社サイトにも閲覧履歴のあるユーザーのセグメントを作れば、すでに認知をしているユーザーへネット上での購入も促す事が出来ます。 ユーザーと関わることの出来る環境を複数用意することが出来るので、リアルでもネット上でも様々なプロモーションが可能になります。 まとめ いかがでしたでしょうか。 DMPから提供されるユーザーのデータを使ってリターゲティングする事で、より見込みの高いユーザーにターゲットを絞った配信ができます。 今回はリターゲティングにおけるDMPの活用方法をご説明させて頂きましたが、リターゲティングだけでなくメールマガジンや、プッシュ通知など様々なマーケティング施策に活用できます。 色々な手法と組み合わせてプロモーションの最大化を目指していきましょう。

もっと読む