nex8事業部の水井です。
Web広告を出稿する際、大事な効果指標となるのが「CPA」や「CPC」、「CPM」ですね。
この「CP・・・」というのが「Cost Per」(~あたりのコスト)の頭文字。
つまり、何かしらのゴールまでにかかった経費を表します。
例えば「CPA」(Cost Per Action)ならAction(成果発生)、「CPC」(Cost Per Click)ならClick(クリック発生)、「CPM」(Cost Per Mill)ならMill(1000回の広告表示発生)というように、それぞれのゴールまでにどれだけの経費がかかったのかを示しています。
CPAについてはこちらに詳しく書いておりますのでご覧ください。
その目標CPA、大丈夫? ネット広告における目標CPAの重要性と改善方法
これらはWeb広告において、効果指標となるのはもちろんですが、掲載料金の課金方式としても使われます。
テレビCMなどの広告では、視聴させることがゴールであるので1秒の放映あたりいくらという課金方式ですが、Web広告の場合は、ゴールが様々存在するので課金方式も多様に存在するのです。
アフィリエイトはCPA、リスティングはCPC、アドネットワークだとCPMの配信サービスなどに分かれますね。
今回はWeb広告出稿時に、特に課金方式での比較検討対象に上りやすいCPC課金とCPM課金について、違いやメリット・デメリットをお伝えしたいと思います。
目次
CPC課金とCPM課金の違い
ディスプレイ広告において代表的な課金形式はCPC課金とCPM課金です。
CPC課金とCPM課金は、ざっくり言うとクリックあたりで課金するのか、インプレッション(広告表示)あたりで課金するのかの違いです。
そのため、よりハードルの高いゴールであるクリックに対して課金した方がお得なように感じる方も多いのではないでしょうか。
ですが、目先のゴールだけにつられて単純に考えていては、逆に損をしてしまっている場合もあるのです。
そうならない為にも、しっかりと違いを理解した上で、選択しましょう。
CPC課金のメリット・デメリット
まずはCPC課金についてご説明します。
CPC課金は、広告がクリックされた時に料金が発生する形式のことです。
逆にクリックされない限りは、どれだけ広告表示されたとしても料金発生がない為、このような課金形式をクリック保証型課金、その広告をクリック保証型広告と言ったりもします。
実際の掲載料金は下記で計算します。
一般的に、クリック数を最大化して、クリックからサイトへの誘導までが目的である場合に適しているとされています。
この課金方式のメリットとしては、サイト流入を促すためのゴールである「クリック」がなされるまで、料金がかからない安心感や、料金の発生が分かりやすいため、分析しやすい点があります。
デメリットとしては、CTRが高くクリックが多い配信面にはコストを多く使いすぎてしまう場合がある点や、クリック最低単価が設定されているサービスもあり、それ以上でしか単価調整ができない場合がある点などがあります。
CPM課金のメリット・デメリット
次にCPM課金についてです。
こちらは、インプレッション(広告が表示されること)ごとに料金が発生する形式です。
CPMは表示1000回あたりの料金ですので、実際の掲載料金は下記のように算出されます。
こちらは、広告配信量を最大化して、ブランドの認知や広告をたくさんの人に見てもらいたいという目的の場合に適しているとされています。
メリットは、CPC課金とは異なりCTRが高い配信面でもコストを抑えて配信ができる点や、CPMをチューニングすることで、RTB(※)により優良な配信面(知名度が高い・イメージが良い・効果が良い等)へは高い料金で配信量を増やし、イマイチな配信面には低い料金で配信量を抑えるなど、配信面ごとでの直接的な運用ができ、効率の良い配信が可能になる、という点があります。
デメリットとしては、サイトへの流入までは担保していない点や、1インプレッション単位で細かい運用が可能な反面、分析が難しい場合がある点などでしょうか。
RTB:リアルタイムビッティングの略。特定の広告枠において、瞬時に広告表示を入札で競い、最も高い金額を提示した企業(主にDSP、SSPを使って行われる)の広告が掲載される、という取引形態。
この方式により、広告主は配信したいユーザーに適切な価格、タイミングで広告を表示させることができる。
結局どっちが良いの?
ここまでで、CPC課金とCPM課金の違いをご説明しました。
CPC課金とCPM課金で迷った場合、クリック数を最大化したい、良質なインプレッションを重視したいなど、目的を考慮に入れる必要がありそうですが、どちらが適しているか比べられる方法があればいいですよね。
ここからは、それを紐解くための指標となる「eCPM」というものをご紹介します。
eCPMに換算して比較する
「eCPM」とは「effective Cost Per Mille」の略で、「事実上のCPM」というような意味です。
実際はCPM課金ではないCPC課金などの広告をCPMに換算することで、インプレッションで考えた時にどれだけコストがかかるかを可視化、比較ができるようになる指標を指します。
例えば下記のようなケースを考えてみましょう。
★CPC\50、CPM\100、CTR1.5%で1,000imp表示された場合
クリック数はどちらの課金形式であっても1,000imp×1.5%=15回ということになります。
それではCPC課金の時にかかるコストを算出してみましょう。
【CPC課金の場合】
CPC(\50)×クリック数(15回)=\750
発生した料金は\750ですね。
CPC課金ではありますが、1,000imp表示したときに\750のコストがかかっていると考えることが出来るのでeCPM(事実上CPM)は\750ということです。
【CPM課金の場合】
CPM(\100)×表示回数(1,000imp)÷1000=\100
CPM課金の場合、発生した料金は\100です。
このeCPMとCPMを比較すると、
\750(eCPM)>\100(CPM)
となるので、CPM課金で配信した方がコストを抑えられたと判断できるわけです。
このようにeCPMを使うことで、CPC課金、CPM課金のように異なる課金形式であっても共通のものさしでの比較が可能となります。
選択のヒントはCTRにあり
2つの課金形式が比較できるとわかったところで、次は「基準となるCTR」の見つけ方を例を5つ使ってご紹介します。
課金形式を選択する際、ヒントの1つとなればと思います。
①CPC\50、CPM\50、CTR0.1%で10,000impの場合
まずは、CPMとCPCが同じ金額である場合を見てみましょう。
クリック数は10,000imp×0.1%=10回となるので、
【CPC課金の場合】
CPC(\50)×クリック数(10回)=\500
【CPM課金の場合】
CPM(\50)×表示回数(10,000imp)÷1000=\500
この時どちらの課金形式でも発生するコストは同じであることが分かりました。(CPC課金=CPM課金)
② CPC\50、CPM\50、CTR0.01%で10,000impの場合
次に①とCPM、CPCは同じですがCTRを10分の1にした時を考えてみます。
クリック数は10,000imp×0.01%=1回なので、
【CPC課金の場合】
CPC(\50)×クリック数(1回)=\50
【CPM課金の場合】
CPM(\50)×表示回数(10,000imp)÷1000=\500
この場合はCPC課金の方がコストを抑えられていることが分かります。(CPC課金<CPM課金)
③ CPC\50、CPM\50、CTR1.0%で10,000impの場合
①とCPM、CPCは同じでCTRを10倍にしてみるとどうでしょうか。
クリック数は10,000imp×1%=100回なので、
【CPC課金の場合】
CPC(\50)×クリック数(100回)=\5000
【CPM課金の場合】
CPM(\50)×表示回数(10,000imp)÷1000=\500
この場合はCPM課金の方がコストを抑えられ、効率が良いと言えますね。(CPC課金>CPM課金)
以上よりCPMとCPCの課金金額が同じであれば、この「CTR0.1%」を基準とすることが出来そうです。
④ CPC\40、CPM\80、10,000impの場合
ではCPCとCPMの課金金額が異なる時に「基準となるCTR」はどうなるのか考えてみましょう。
この場合、CTRが「0.2%」であると、CPC課金、CPM課金どちらであってもクリック数が20回で発生するコストは\800となります。
【CPC課金の場合】
CPC(\40)×クリック数(20回)=\800
【CPM課金の場合】
CPM(\80)×表示回数(10,000imp)÷1000=\800
よって、基準となるのは「CTR0.2%」となり、それ以下ならCPC課金、それ以上ならCPM課金の方が効率が良いと言えます。
⑤CPC\120、 CPM\60、10,000impの場合
最後にもう1つ、④の条件と異なる別のパターンを考えてみましょう。
この場合は「基準となるCTR」は「CTR0.05%」であることが分かります。
クリック数は10,000imp×0.05%=5回なので、発生するコストは\600となりますね。
【CPC課金の場合】
CPC(\120)×クリック数(5回)=\600
【CPM課金の場合】
CPM(\60)×表示回数(10,000imp)÷1000=\600
④と⑤から分かるように、CPCとCPMが同じ金額でない場合、「基準となるCTR」が変わります。
どちらの課金形式にするかを選択する際、利用する広告配信サービスの平均的なCPCとCPMを事前に聞いて、発生するコストが等しくなるCTRを見つけましょう。
その「基準となるCTR」よりも実際のCTRが高いか低いかということが選択材料の1つになりそうとお分かり頂けるかと思います。
もちろんCPMは変動する値ですし、CPC単価や課金システムもサービスによって様々ですので、一概にこれが正しいとは言えません。
ですが、異なる課金形式でも比較ができるということ、CPCとCPMから選択材料となるCTRを割り出せるということは、課金形式を選択する際に覚えておくと便利です。
まとめ
いかがでしたか?
CPC課金とCPM課金の違いや選択する際のヒントが、ざっくりと分かって頂けたかと思います。
今まではCPC課金が主流とされていたこともあり、なんとなく『CPM課金はリスクが高い!』そんなイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
でも、今回いくつかの例でご紹介したとおり、CPC課金の方が適している場合、CPM課金の方が効率的な場合など、様々なケースがあり得ます。
お金の問題ですから、つい安全そうな選択肢や目先のゴールを判断基準に選んでしまいがちですが、これからは状況や目的によってどちらが本当に適しているのかを考える必要があるのではないでしょうか。
水井 悠莉
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