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知っていれば失敗しない、リターゲティング配信の注意点4つと対応策まとめ

こんにちは。nex8事業部の砂森です。 前回の記事ではリターゲティング広告配信のメリットをお伝えしました。 その時の予告どおり、今回はリターゲティングの課題についてご紹介していきます。 課題、というよりは適切な対応策を取れば必ず解消できるものであるため、この記事では注意点という言葉を使わせて頂きます。 もちろん注意点だけではなく対応策についても合わせてご説明していきますのでご安心ください。 注意すべき点は事前に知っておけば対応策も取れます。 また上長へリターゲティングを提案する時も内容に厚みが出せるので、この記事を読めば実施の可能性が高まること間違いなしです。 この記事では、あなたがリターゲティングを検討し、実際に配信、運用を行っていく中で注意しなければならない点を順番に述べていきます。 リターゲティング広告について、まだ詳細に知らないという方はこちらの記事も参照してください。 リターゲティングの導入タイミング・導入目的を見誤らないこと では最初に、導入を検討する段階。 まず注意しなくてはならないのが、「今がリターゲティングを導入するべきタイミングなのか?目的をはき違えていないか?」ということです。 検討中の企業でたびたび、新規ユーザーを増やせないなら広告として意味がない、ということを耳にします。 しかし第1回、第3回とお伝えしてきたとおり、リターゲティングは新規ユーザー(※)の流入を増やすための広告手法ではありません。 (※ここでは新規ユーザーを、まだあなたのサイトを知らない人、訪れたことのない人としています。) 今回は消費者の商品購入やサービス導入までの態度変容を段階的に表した「購買ファネル」図を使って、改めてリターゲティングの役割をおさらいしていきましょう。 購買ファネル:「ファネル」とは漏斗(ろうと、じょうご)のことを言います。 広く集客した見込み顧客が、その後検討や商談を経て成約へと進む中で段々と少なくなっていく様子を図にすると漏斗形になることからそう呼ばれています。 リターゲティング広告は、一度サイトに訪れたユーザーに対してのみ広告を配信します。 一度もあなたのサイトに訪れたことのない人にはリターゲティング広告は配信することが出来ませんね。 この手法で出来ることは、下図の購買ファネル下層部にあたる比較検討段階や、すでに購入済みのユーザーを狙うことです。 なので、もしあなたのサイトの新規ユーザーの流入数がまだ少ない場合、リターゲティング配信で効果を出すためには、そもそも狙うユーザーが少ないので、事前に、または並行して購買ファネル上層部にあたる新規ユーザー獲得のための施策を別途行う必要があるのです。 このようにタイミングと目的を見誤った状態でリターゲティング広告をスタートさせたが苦戦し、その後それらを改善しリターゲティング配信を成功させたアパレルECの事例があります。 実際に私が以前運用していたクライアント様のものです。   そのクライアント様、サイトを立ち上げたからとりあえずリターゲティングやりたいと言ってこられました。 その時点でサイトの訪問者数は月間でおよそ500人。 配信対象ユーザーが少ないので、あまりオススメはしなかったですが、その時は押し切られ実施することになったのです。 案の定と言うか、1日の配信量は100円にも満たないほど。 リターゲティングだけをやってもあまり予算を使うことが出来ず意味がなかったので、いったんリスティングやアフィリエイト、SEO対策で新規流入に力を入れましょう、という運びになりました。 すると3か月後くらいには月間訪問者数が20万人近くにまで伸びていて、リターゲティング配信でも1日に1万円分ほど、費用対効果も合わせた状況での配信量を出せるようになっていました。   この例からも分かるように、リターゲティングは配信対象となるユーザーを一定数確保した状態で始める必要があります。 リターゲティングを実施する際には、新規ユーザーを集客する施策を別で行い、それによって訪れたユーザーにアプローチが出来る接客施策、追客施策として適切に運用することが大切になってきます。 効果検証・改善のための配信設定を間違えないこと Web広告の中でのリターゲティングの役割をしっかりと認識していただいたところで、次は配信を行っていく段階です。 リターゲティング広告を配信する時、ほとんどの広告配信サービスでは配信したい対象のユーザー群を自由に設定することが出来ます。 設定の仕方として例えば、「サイトを離脱してから1日以内のユーザー」とか「カートページまで来て離脱したユーザー」とか、それらをかけあわせた「カートページでサイトを離脱してから1日以内のユーザー」といったように様々な種類があります。 このユーザー群、ユーザーのまとまりのことを「セグメント」と呼びますが、この「セグメント設定を適切に行わないと効果的な配信が出来ない」ことを注意点の2つ目としてご紹介します。 これをしっかり行わないと、効果検証や費用対効果の最適化が上手く出来ず、リターゲティング配信は本来の力を発揮することができません。 では、どのように設定するのがよいでしょうか。対応策を2つご説明していきますね。 【対応策①】最低限のセグメント設計は行う 先ほど挙げたように配信対象ユーザーを決める時には、訪れたページごと、訪れてからの経過日数など様々な分け方を選ぶことが出来ます。 この時、ユーザーはなぜサイトを離脱したのか、次にどのタイミングで広告配信すればよいかなど、離脱ユーザー1人取っても色々と仮説をたてて配信の設計をする必要があります。 ユーザーの状況や日々の行動を上手く考えて配信設計を行えれば、費用対効果を最適化していくことが可能となるのです。 もちろんPDCAを回しての改善は常にしていかなければいけないですが、リターゲティングは配信前の初期設定が非常に重要であると考えられますね。 個人的にはとても自由度が高いから面白いですし、運用力の見せどころだ、なんて思いますが、こういった設計をしっかりやろうとすると専門の知識が必要になったり、何より労力がかかります。 ですので、割と適当に決めてしまう方も多いようです。 では例えば「Topページで離脱したユーザー」と「カートページで離脱したユーザー」は「同じ購買段階・心理状態のユーザー」として見ることができるでしょうか? 一般に、「Topページで離脱したユーザー」は何かを買いたくて訪れたというよりは、少し気になったから覗いてみただけというユーザー、それに対して「カートページで離脱したユーザー」は商品をカートに入れているので、購入直前のかなり有望なユーザーである傾向が強いと想像できます。 それぞれの状況により、ユーザーニーズやアプローチの手法も異なってくるのです。 そこで、どういった商材かは関係なくECサイトの場合であれば、少なくとも「Topページ離脱ユーザー」、「商品詳細ページ離脱ユーザー」、「カートページ離脱ユーザー」、「購入済ユーザー」の4つのセグメント分けは行ってください。 もし「Topページで離脱したユーザー」と「カートページで離脱したユーザー」を分けていれば、効果の悪い方のセグメント設計を変えるだけでなく、そもそも「Topページで離脱したユーザー」には配信をしないといったユーザーの心理に合わせた改善案をいくつか出すことも出来ますよね。 これだけでも、効果が悪かった時は原因の特定がしやすくなります。よく分からないけど、何となく効果が出ない・・・とはなりにくくなるでしょう。 【対応策②】セグメントは分けすぎず母数を確保する それでは、仮説をばっちりたてて、離脱したページごと、離脱してからの日数ごとに細かく完璧にセグメントの設計をすれば、もっと分析・改善がしやすくなるのでしょうか? 実際には、セグメントを細かく分ければ良いかというと単純にそうとは言い切れません。 分けすぎてしまうことで、1セグメントあたりの母数が少なくなってしまう可能性が出てきます。 母数が少ないと、セグメント内の各ユーザーの動きの影響を受けすぎるため、1人のユーザーが著しく特殊な動きをした場合に、セグメント全体のデータが全然違うものに見えてしまいます。 セグメントごとでの本当の傾向が読みづらくなってしまうのです。 例えば「カートページで離脱してから1日以内のユーザー」というセグメントを作ったとします。 この時セグメント全体の人数が10人ほどなのであれば、これはよくありません。 母数が少なすぎるので、もう少し広げる必要があります。 同じ「カートページ離脱ユーザー」を使うのであれば「サイト離脱後10日以内のユーザー」としてセグメントを作りましょう。おそらくユーザー数が10倍ほどになっているはずです。 セグメント内のユーザー数が10人ほどしかいないものと、100人いるものであれば、100人いる方での効果が正確な数値として見ることが出来ますよね。 では、上記2パターンを踏まえ適切なセグメントについてのまとめです。 実施するサイトでの流入数や母数によりますが、上述した4つのセグメントは押さえてください。 そこからは仮説をしっかりたて、傾向が見える範囲で固まりを持ったユーザー群となるように設計をしましょう。 ECであれば「Topページ離脱ユーザー」→「商品詳細ページ離脱ユーザー」→「カートページ離脱ユーザー」→「購入済ユーザー」の順に1セグメント辺りのユーザー数は減りますが、ユーザーごとの購買意欲が高い分CPAは低くなる傾向にあります。 まずは「購入済ユーザー」を対象として配信を行い、「カートページを見たユーザー」に配信を拡大していく、というのがよくやる成功パターンです。 このような業種ごとでのやり方はあるにはあるのですが、絶対とは言い切れません。 仮説をたてセグメント設計を行ったとしても、やってみないと分からないというのが正直なところです。 それでも設計した中で効果の悪いところを改善していけば目標値をクリアすることは可能です。 リターゲティングをストーカー広告化させないこと 配信設計、準備もしっかり行って頂けたところで、ついに配信となります。 リターゲティング広告を配信している最中で懸念される注意点としては1回目の記事でも触れましたが、やはり広告主の「ブランディングの阻害をしかねない」ということでしょう。 “あなたのサイトから離脱した見込み顧客の中でも成約意欲の低いユーザーは、何度も追いかけられて迷惑とか、同じ広告がまた表示されていて怖いなど良いイメージを抱きにくくなり、結果的にブランド力の低下を招きます。” 上記は1回目の記事からですが、やはり1日に何回も見せられたら、またこの広告だ、とかずっと追いかけられてどうしてだろう、とか、怖いって思われてしまっても仕方ありません。 何度も広告を見せることによる「単純接触効果」は良いと以前に言いましたが、それにしたって限度があります。 ストーカーになってしまうのです。それは避けたいですよね。 では、こちらも解消していきましょう。 下記で3つの方法をご紹介します。 【対応策①】フリークエンシーキャップを設ける フリークエンシーとは、ユーザーに広告を見せる回数のことで、これに制限をかけることをフリークエンシーキャップと言います。 1日に何度も同じ広告を見せるから印象を悪くするのかもしれません。 では1日に見せる回数を適切にしてあげればいいですね。 例えば1人のユーザーに対して1日に10回まで広告を見せ、それ以上は見せないという設定にすれば、追いかけられているとはそれほど感じなくなるのではないでしょうか。 もちろんこれは一例で、何回がベストかは商材によって異なってきますので、色々試しながら最もよい回数を決定していく必要があります。 【対応策②】リーセンシーを決める リーセンシーとはユーザーがサイトを離脱してからの経過時間のことを言います。 ずいぶん前にたまたま一度見ただけなのにいつまでも追いかけ続けていれば、それはしつこいと感じられても無理ありませんよね。 それならば配信を続ける日数を適切にするのも1つの手として考えられます。 ユーザーがサイトを離脱してから7日間(=リーセンシーは168時間ということ)だけを配信対象とすればあまりしつこく思われることもなさそうです。 ただ、この項目についてもベストな期間という定石はありません。 ECの場合、離脱後3日以内くらいの効果が良い傾向にありますが、探りながら最も効率的な配信日数を見極めるのがいいでしょう。 【対応策③】バナークリエイティブを変える ユーザーの見るバナーに変化をつけることで、同じ会社の同じ商品がまた訴求されている、とか同じ広告に追われ続けていると思われることを軽減出来ます。 下図のように訴求内容や雰囲気を少しだけ変化させ、ABテストも兼ねて複数のバナーを並行して配信してみても良いでしょう。 上記3つをしっかりと行っていければストーカー広告になることもなく、繰り返し接することで好感度が増していく「単純接触効果」の良い部分だけを伸ばしていくことが出来るようになるでしょう。 運用に時間を取られてしまうこと ここまで来たあなたは、リターゲティングの役割を認識し、配信するセグメントの設計も出来て、ストーカーにもなることもなく配信が出来ています。 これ以上注意点なんてあるのか、と言いたいですよね。もうこれで最後です。 これまで述べてきた、特に「2.効果検証・改善のための配信設定を間違える」と「3.リターゲティングをストーカー広告化させてしまう」で挙げた注意点については広告運用をしっかり行えば解消できるものでした。 ですが、例えば「2」のセグメント設計のところでは、ユーザー群を作りすぎてしまった場合、それだけ多くのパターンを見ていかなければならないので運用工数がかかってきます。 「3」の配信頻度やクリエイティブ変更といった広告運用についても、ストーカーと言われることはなくなっても、すぐに費用対効果の合った配信が出来るようになるか、それにかかる期間は分かりません。 そう、4つ目の注意点は、「運用に時間を取られてしまう」ことです。 リターゲティング広告の運用は慣れるまで少し時間がかかります。 複数社の広告配信サービスを利用しているのであれば、管理画面もそれぞれ違うため、その分だけさらに工数を使ってしまうことになるのです。 広告運用だけに時間を使えるわけでなければ、結構大変ですよね。 ここについては、代理店や配信サービス会社に運用を全て任せてしまうのも1つの案だと思います。 代理店や配信サービス会社には当然知見もあるので、費用対効果の最適化を早い段階で達成することでしょう。 下図にて自社で運用した場合と、一般的な配信サービス会社を利用した場合でのメリット、デメリットをまとめてみました。 一例として弊社サービス(nex8)でのメリットとなりますが、ご依頼いただいた場合、こちらで勝手に設定して運用して効果を出して終わり、ではなく細かく相談をしながら進めさせて頂いています。 配信開始時のセグメントの作り方や、効率的な配信を行うための運用方法など弊社が持っているノウハウの共有をさせていただくので、自社での広告運用も出来るようになるはずです。 もし自社内に運用出来る、また取り組める人がいるならそれはすごく貴重な存在です。 この時も、全てをどこかに任せてしまう、または全てを自社で行うのではなく、代理店や配信サービスの担当者と共に運用をしていくことをオススメします。 自社だけで実施するより早く効率化でき、またノウハウも蓄積していくことが出来ます。 少し時間がかかってもそれに見合うだけの価値はあるでしょう。 何にしても言えることは、コツさえつかんでしまえばリターゲティング広告の運用はもう怖くないですし、やった分だけ自社に恩恵を与えてくれる、ということです。 まとめ リターゲティング配信を行う上では、「導入のタイミング・目的を見極める」こと、「適切なセグメント設計をする」こと、「フリークエンシーやリーセンシー、クリエイティブの運用によりストーカー広告にならない」こと、「運用に自信がなかったり、時間を取られすぎる場合は賢く外部の知見を使う」ことが大切です。 運用については慣れるまで、かなり時間を割いてしまうかもしれませんが、時間を費やした分の価値は絶対にあります。また適切なユーザーに適切な頻度と内容で配信が出来れば効果がどんどん上がるのがリターゲティング広告の魅力です。 まだ実施をされていないのであれば、ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。

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